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「えっ、これチェロ曲なの?」クセがすごい無伴奏チェロ曲9選
2025.02.07
チェロといえば、しっとりとしたロマン派の旋律や、バッハの《無伴奏チェロ組曲》のような神聖な響きを思い浮かべる人が多いのでは? しかし、世界は広い。チェロ界には「それ、本当にアリなの?」とツッコミを入れたくなるような、クセ強めの独奏曲がひしめいている。
今回のテーマは、フリードリヒ・グルダの《チェロ協奏曲》のように、型破りで変な魅力にあふれた無伴奏チェロの珍曲・奇曲。一度聴いたら忘れられない、音楽の沼にハマること間違いなしの9曲をご紹介します!
1. ジョヴァンニ・ソッリマ:《ラメンタツィオ》 (Lamentatio)
「チェロを弾くのか、歌うのか、それが問題だ」
ソッリマはイタリアの鬼才チェリスト・作曲家。彼の代表作《ラメンタツィオ》は、演奏者が弓を引きながら**「ウォォォォン!」と唸り声をあげる**という奇怪な指示がある。
初めて聴いた人は「え、悪霊でも憑いた?」と動揺するかもしれないが、実はこれは中世の哀悼歌にインスパイアされた表現。チェロと人間の声が一体化するという、カオスながらも美しい演奏が求められる。演奏会でやると観客のリアクションが楽しいのでオススメ(?)。
2. マルコ・ストロッパ:《Spirala》
「音が…襲ってくる…?」
ストロッパは現代音楽界で知られる電子音響マニア。この曲、まず楽譜を開いた時点で大抵のチェリストが絶望する。音符じゃない謎の記号やグラフィックが大量発生しているのだ。
音の洪水、呪詛のようなハーモニクス、弓で指板をひっかくような音、そして突如現れるロマンチックな旋律。まるでシュルレアリスムの絵画の中に迷い込んだようなカオスな世界を堪能できる。
ゾルターン・コダーイ:《無伴奏チェロ・ソナタ 作品8》
「チューニングの時点で絶望」
ハンガリーの民族音楽を取り入れたこの名曲、**「弦を変則調弦(スコルダトゥーラ)せよ」**という地味に面倒な指示がある。つまり、通常のチューニングでは弾けないので、もう楽譜を開いた時点で「うわっ」となる。
しかし、その響きは唯一無二。荒涼としたハンガリーの大地が眼前に広がるような壮大なサウンドで、クラシックチェロ曲の中でもトップクラスの難曲。演奏後、チェリストの表情は大抵「燃え尽きた…」となる。
4. ジョン・ゾーン:《The Book of Heads》
「楽器って、殴るためにあるんでしたっけ?」
アヴァンギャルド界の帝王ジョン・ゾーンによるこの曲集、もう**「どう弾くか」より「どう遊ぶか」**に近い。
・弓の毛をピンっと弦にぶつけてカンッ!という音を出す
・指板をゴリゴリ擦る
・弓の先端で弦をピョンピョン跳ねさせる
・時には楽器をガンガン叩く
など、「これチェロにやっていいの?」という奏法オンパレード。現代音楽のライブでやると楽しいが、楽器メーカーの人に見せると泣かれるかもしれない。
5. ガスパール・カサド:《無伴奏チェロ組曲》
「あれ? フラメンコ始まった?」
スペインのチェリスト・作曲家カサドによるこの曲は、バッハの《無伴奏組曲》のように見えて、中身は情熱的なフラメンコのノリ。特にタンゴっぽいリズムやギター的なアルペジオが入るので、「え、私いまスペインにいる?」と錯覚するほど。
バッハの無伴奏が厳かな修道院だとすれば、カサドの組曲はスペインの酒場で踊るジプシー。**「真面目に弾いてたのに、いつの間にかステップ踏んでる…?」**という危険な魅力がある。
6. ルチアーノ・ベリオ:《セクエンツァ XIV》
「これ、何楽器?」
ベリオの《セクエンツァ》シリーズは、楽器ごとに変態的な音作りを追求した作品群。チェロ版も打楽器的な奏法を駆使し、ピッツィカート(はじく奏法)やボディパーカッションが連発する。
ある意味、**「チェロがドラムと化す」**瞬間があり、観客が驚愕すること間違いなし。
7. マーク・サマー:《Julie-O》
「ジャズかと思ったらブルーグラスだった」
マーク・サマーは元タートル・アイランド・カルテットのメンバーで、クラシックとジャズの境界をぶち壊す男。《Julie-O》はグルーヴ感満載のチェロ1本ブルーグラスセッションみたいな曲で、ピチカートやボディパーカッションが多用される。
チェロでフィドルみたいにノリノリに弾きたい人にはオススメ。ただし、クラシック畑の人がやるとリズムに翻弄されてぐったりする可能性大。
8. デグリ・アントニオ:《リチェルカーレ 第7番》
「バッハより前の無伴奏?」
バロック時代の珍しい無伴奏チェロ曲。簡単そうに見えて、意味不明なリズムと終わらないフレーズ地獄に突入するので、演奏中に「私いま何小節目?」と混乱する。
9. ヘンリー・カウエル:《Cello Piece》
「ピアノを発明した男、チェロでも暴れる」
カウエルはピアノの弦を直接叩く「ストリング・ピアノ」の開発者。もちろんチェロでも普通に弾くわけがなく、弦を擦る、叩く、つまむ、引っ張るなどカオスな指示が満載。
おわりに
どれも一筋縄ではいかない曲ばかり。あなたのチェロライフに、ちょっとしたスパイスを加えてみては?

