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ブログ・コラム

それっぽいテンポ感で演奏するために

2022.01.19

クラシックを弾くとき、特に難しいこと。

それは、適切なテンポ感で演奏することです。
演歌のようなコブシでバッハを弾いたり、ボカロみたいなノリでショパンを弾いたりすると、聴いた人は違和感を持つでしょう。(挑戦的な試みである場合は別)

難しいこといわないでくれ。人前で演奏するのがこわくなるだろ!

そう思った方のために・・・・
今回は、クラシック音楽における「テンポ感のちがい」を述べさせていただきます。

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◆バッハなど、バロック時代の作品を弾く場合

原則として、等速感のあるテンポが要求されます。
あまり歌いこもうとせず、軽快かつ淡白に弾くことが無難です。
ただし、カデンツァや旋律楽器の無伴奏など、比較的自由なテンポが許される曲・部分もあります。


◆モーツアルトを弾く場合

基本的に、等速感のあるテンポが要求されます。
ただし、不協和音を強調する際に生じる小さな「揺らぎ」は許容されるかもしれません。


◆ショパンリスト等、前期ロマン派の作品を弾く場合

この時代はテンポ・ルバートという技法が流行となりました。
ルバートとは、すなわち「盗む」の意です。
具体的には、長くのばしたい音がある場合、他の音の長さを短くします。(=ほかの音から長さを盗む)
テンポ・ルバートを使えば、一定の尺のなかで音価の帳尻を合わすことで、推進力を保ちつつも自由な演奏ができます。
甘味な旋律を表現力豊かに歌い上げることができる一方、拍節が感じられない演奏になるリスクもあります。そのため、テンポ・ルバートに嫌悪感を隠せないジャズ系の音楽家・愛好家も存在するのです。(拍のゆらぎが気持ちわるいようだ)


◆前期ロマン派の中でも、ドイツ系の作品を弾く場合

シューベルト・シューマン・ブラームスなど、ロマン派以降でもドイツ系の作品は、あまりテンポを揺らしすぎないほうがベターかと思われます。
シューマンは、自身の音楽批評において「酔っぱらったような名人の演奏は、マネをするべきではない」といった記述を残しています。


◆ウインナー・ワルツを弾く場合

3拍子の2拍目を遅らせることが、ウインナー・ワルツらしい拍の取り方であると言われています。


◆ロマの作品を弾く場合

ロマとは、東欧における定住をせずに移動して生活をしている民族です。(現在はキャンピングカーで生活しているようです。)かれらは、なぜか音楽の才能が高く、その才能に魅せられた市民からお金をもらって暮らしていました。
彼らの音楽を編曲した「ハンガリー舞曲」「チャルダッシュ」などは、ゆったりとしたテンポの自由な部分と、急速なテンポが求められる部分から構成されています。

演奏するにあたって、テンポの音楽的なメリハリをつけることと、聴衆が理解可能なテンポ(=ほどよい正確さ)で弾くことが求められるでしょう。


◆ドビュッシー・ラヴェルなど 近代フランス音楽を弾く場合

正確なテンポで弾きつつ、ほどよい優美さもなければいけない・・・・
つまり、クールかつオシャレでなければならないのです。
なかなか難儀かと思われます。


◆現代曲を弾く場合

表現については全て楽譜に記されているので、正確に演奏できれば8割がたOKです。
むしろ、変に情感を出すと、作曲者(存命中)から怒られることがあります。

ただし、「演奏者の自由に任されている割合が大きい曲」もあります。
(楽譜はなく、指示書のみの曲など)
演奏する人の、知性とユーモアが試されているのかもしれません。


◆まとめ

いかがでしたか?

ここまでの記述は、絶対的なものではありません。
例外は、多いかと思われます。(クレームはご遠慮いただきたく存じます・・・・

貴方の演奏活動において参考となれば、大変幸いです。
良い演奏ができるよう、心から応援致します。

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お待ちしております。

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