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ブログ・コラム

リコーダーのこと

2022.03.10

みなさんは、小学生のころの記憶がいきなり蘇ることってありませんか?
ほんわかした楽しい記憶や、
枕に顔をうずめたくなるような記憶など、私は結構頻繁に蘇ります。
寝る前とかにいきなり思い出してじたばたしちゃいますよね・・・

それはまあいいとして小学生のころ、
音楽の時間にリコーダーありましたよね。
お手軽に吹けて値段もお安く、そんなにかさばらないので携帯にも便利。
音色もピロピロと可愛らしいそんなリコーダーですが、
高校生くらいになると触る機会がなくなりませんでしたか?

押し入れの中で湿気にまみれて放置されているリコーダーが、
全国に一体何万本あることでしょう・・・
とっても素敵な楽器なのに、もったいなさすぎます!!!
ということで、今回はリコーダーについてちょっとお話ししてみたいなと思います。


◆生まれたころはよかった

リコーダーの歴史は古くて、なんと12世紀ごろには
現在のリコーダーとよく似た形の縦笛がヨーロッパ中で吹かれていたのです。
最古のエアリード属管楽器ともいわれているリコーダー。
ルネッサンスやバロックの時代には室内楽なんかで大いに普及し、
飛ぶ鳥を落とす勢いでブイブイ(ピロピロ)言わせていたのです。

当時のアンサンブルが、弦楽器を中心とした伴奏に独奏楽器が入るという「協奏曲」の形をとることが多くなってきたことも関係し、リコーダーはもっぱら、ソロ用の楽器として引っ張りだこでした。


◆限界を感じて・・・そしてライバルの登場

しかし、18世紀になり、現在のようなオーケストラの形ができてきた頃には、
より大きな音量と、音色の豊かさを求められるようになってきました。

リコーダーは、そのニーズに応えることができず、同族でありライバルでもあるフルートに、
そのお株を奪われていきました・・・
フルートは音も大きいし、ロマンチックな曲に合った音色も出せますからね。
盛者必衰・・・適材適所・・・

そんな不遇な時代に負けてしまったリコーダーですが、一発逆転のチャンスがやってきます。


◆変態がリコーダーを救う?!

1919年、ベルサイユ条約が締結されたこの年に、
イギリスに住んでいたアーノルド・ドルメッチさんというどこにでもいる外科医の男性が、
なぜかバロック時代のリコーダーのコピー品を作成しました。
なんで外科医が?と思うかもしれませんが、
熱狂的な音楽愛好家って結構そこら辺にいるものなんですよ。
ドルメッチさんもその一人だったわけですね。
しかもこの方、自分一人だけでなく家族全員分のリコーダーを作って、
各国に家族で演奏旅行に旅立つのです。仕事はどうした?って感じですよね。
というか家族も家族ですごいですよね。
疑問とか持たなかったのかな・・・

でもその演奏旅行のおかげで、
各地で「何だアレ?変な笛吹いてる人たちがいる!」と話題になるわけです。
今っぽい言葉でいうと「バズった」わけですね。


◆もう一人の変態

そんな中、有名になってきたドルメッチファミリーが
万博に招待されたときに演奏しているのを見て衝撃を受けた人物がいます。
ドイツ人のペーター・ハルランさんです。

感銘を受けたハルランさんは、イギリスにいるドルメッチさんに懇願し、
リコーダーの作り方を教えてもらいます。
そしてその手法をドイツに持ち帰り、リコーダーの復興に情熱を燃やしたのです。

その後、リコーダーをはじめとした古楽器で
古い音楽を演奏しようという運動が盛んになり、
再びリコーダーも以前のように存在感を取り戻していったのです。

さらにさらに、時のナチス政権では、
このリコーダーを学校教育の中に積極的に取り入れようという動きが起こり、
家庭でもアンアンブルを楽しめる楽器としてリコーダーの普及が進みました。
そういえばヒトラーは芸術に大層理解のある人物として有名でしたね。


◆そしてジャパンへ・・・
ベルリンオリンピックでの祭典では、
大勢の子供たちによるリコーダーの大合奏も行われたのですが、
この演奏を見た日本人が大層感銘を受け、
「日本の学校教育に必要だ!」といってリコーダーを日本に持ち込んだのです。

そして、当時の日本で管楽器製造の大家だった「日本管楽器株式会社」が、
製造を請け負い、「スペリオパイプ」という商品名で販売を開始しました。

ここから、日本でのリコーダーの知名度もぐんぐん上がっていきました。
日本だと小中学校では必ず買わされるし、知らない人はいない楽器になりあがったんですね。


◆まとめ
こう見ると、リコーダーって結構ハードな人生送ってきてるんですよね。
この記事を読んで少しでもリコーダーに興味を持ち直して、押し入れから引っ張り出してくれる人がいるといいなあ・・・と願う次第です。

レッスングリッドでは、リコーダーの講師も在籍しております。
気になる方は、ぜひ体験レッスンを受けてみましょう。
講師・運営一同、お待ちしております。

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